2012年10月30日

美容整形は必要悪か

 先日「Planet Ivy」というロンドンの三流情報配信サイトに美容整形にまつわる以下のような記事が出ていたので紹介いたします。(小生が和訳しましたので拙訳であることをご容赦ください。)
《 夫が醜いという理由で妻を離縁、彼女を提訴し、勝利する 》

 離婚は決して快いものではないが、この離婚は非常に醜悪である。中国北部出身の男性が妻を醜いという理由で離婚し、彼女を提訴した。夫は訴訟で勝利し、12万ドル(約960万円)の慰謝料を得た。そして世界中の人々に"結婚"や"愛"のような言葉の妥当性をもう一度疑問視させることになった。
 中国北部の男性である Jian Feng さんは妻と結婚し、伝え聞くところによると彼女をこの上なく愛していた。まもなく彼女は懐妊し、女の子を出産したが、このことによって Feng さんに問題が生じた。
 彼は生まれてきた赤ちゃんが途方もなく醜いと思った。身の毛がよだつほどに醜かった。赤ちゃんは両親のどちらにも似ていなかったため、妻に本当の父親を教えるように要求した。なぜなら(両親に似ていない)醜い子どもをもてば、妻の貞節に関する疑問に飛びつくことが、なすべき明白なことだからである。
 結局彼の妻は浮気をしていなかった。しかし彼女は夫と出会う前に見てくれをよくするために、美容整形に10万ドル(約797万円)を費やしていた事実をごまかしていた。それは初めてのデートでは記憶から消え去る種類のことである。彼の妻がこのことを彼に明かした後、Feng さんは取るべき唯一の正しい手段をとった。妻と離婚し、彼女が偽りの外見で彼と結婚したと主張して、彼女を告訴した。偽りの外見というのは彼女が綺麗に見えたということだろう。そして信じられないことに(おそらく男性であろう)裁判官が Feng さんに同情し、彼は訴訟で12万ドルの慰謝料を勝ち取ったのだ。
 通例なら裁判では被害者を気の毒に思うものだが、自分の妻がその人生のある時期まで醜かったから、整形して美しくなった妻に腹を立てる男性を気の毒には思うのは困難だ。もし読者が誰かを気の毒に思うなら、その子どもに対してだ。その子は、自分の顔が原因で両親を離婚させた赤ちゃんとして永遠に知られるだろうからだ。

man-divorces-sues-wife-for-being-ugly-wins(Planet Ivy の原文)
 私は美容整形について時々考えることがありますが、まさにこの記事が私の一番恐れることです。私はまだ未婚ですが、もしこの記事と同じケースに遭遇したなら、Feng さんと同じ行動を取ると思います。いや、もっと荒れるかもしれません。私には美容整形に対する根強い嫌悪感があります。それは理屈では説明できない本能的なものです。しかし私のような考え方は完全な男目線で、女性にしたら問題はより深刻なのでしょう。私が塾講師をしていた時期にプチ整形がはやっていて、中学・高校生の女の子に「整形したいか?」と冗談で聞いたら「金があったら整形したい」とほとんどの子が返答したのでビックリしました。男が整形したいなどというのは話しになりませんが。そういう男には「お前の顔なんて誰もみないよ。自意識過剰だ」と言って突き放してやります。私だって中の下か下の上レベルの顔で満足しているのですから。

 美容整形にからんで三島由紀夫が『〈美容整形〉この神をも恐れぬもの』というタイトルの短いエッセイを書いていたので読んでみました。1965(昭和40)年発行の雑誌の記事でこの頃からすでに美容整形が繁栄していたことに驚きます。そしてタイトルだけを見ると、美容整形を一刀両断に切り捨てるかのように見えたのですが、実は三島は整形を肯定しているようなのです。
「(三島が取材をした美容整形病院の)院長が、鷹揚に、人間の幸福が金で買える時代が来たのです≠ニいうのは全然ウソだとはいえない。たしかに、人間の幸福の相当部分は金で買えるのである」
「私は美容整形≠フ思想が、未来社会の一つの重要なモラルになりそうな予感さえしている。精神のことなんか置きざりにして、外面だけ美しくしようという考えは、人類の抱く一等浅はかな考えのようだが、この浅さ≠ェ曲者なのだ。あらゆる深い℃v想が死に絶えたあとに、もっとも浅い℃v想に、深み≠ェ宿るかもしれないのである。
 事実、そういう時代は、アメリカにはかなりの程度に来ている。
(中略)私はそういう社会をかなりの程度に歓迎する。二十世紀とは、もしかすると、そういう時代なのかもしれないのである。あの、深刻な、思想的な、告白的な十九世紀という時代のアンチテーゼとして、こういう時代が来てもふしぎはない。それはある意味では美の時代≠フ到来である」
 上記に引用したのはエッセイの一部分ですが、私はこれを読んで「三島は何を言ってるんだろう?」と呆気に取られました。前述のとおり私が整形を生理的に拒否しているのでこう思うのかもしれませんが、それにしても「人間の幸福の相当部分は金で買える」はないだろうと思います。小学校・中学校の授業で教師がこんなことを言ったら大騒ぎになります。21世紀でも夢は努力でつかむものであることに変わりはないと私は信じています。こんなものがシュルレアリスムなら、丸めて焼却炉に放り込んだらいい。冗談半分で言っているのかもしれませんが、私は強い反発を感じました。
 話が逸れました。三島の思想との対決は置いておいて、美容整形の話に戻りますと、その問題の一つは整形をしたいという女性の大半が、実は整形の必要がないくらい綺麗だということです。本人が外見に対して過剰に意識しているだけのことが多い。こういう人には周りの人が「あなたは充分綺麗だよ」と一言言ってあげれば問題が解決するような気がするのですが、どうでしょうか。かつて私が「綺麗だな」と憧れていた女性が、整形をしたがっていると聞いて驚いたことがあります。周囲の美しくなりたいという願望に流されて整形の必要のない人まで整形を望むという人間の悲しい性があるような気がします。
 それから整形のもう一つの問題は、その手術が果たして安全か、ということです。人間の皮膚は当然加齢とともに衰えてきますから、若い頃に整形して入れたシリコンが歳をとってもそのままの状態を保っていられるのか、と誰でも疑問に思うでしょう。マイケル・ジャクソンの例など挙げるまでもありません。しかし美容整形というのは元来秘匿性が高いものなので、手術に失敗した患者さんは表立って病院を非難できない。泣き寝入りをしているのだと思います。だからネットで検索すると整形被害にあった方の声がごまんと出てきます。しかしそれはあくまで匿名のネット上の話であって、一体どれぐらいの方が本当に被害にあっているのか実態はつかめません。あるいは成功して喜んでいる人の方が多いのかもしれませんが、統計をとることができないので成功者が多いのか、失敗者が多いのかすらわかりません。私は汚いことをする商売として高利貸しと美容整形が真っ先に頭に浮かびます。手術失敗の被害にあわれた方には勇気を出して悪質な業者を告発するようお願いしたいです。私の知人がほっぺたがふくらんでいることを苦にして整形手術を受けましたが、術後逆に痕が残って汚くなり、自殺した人がいます。こんな悲劇を繰り返さないためにも、みんなで勇気を出して悪質な業者を告発しなければなりません。
 ところで人間の美ということを考えるとき、私たちは一体何をものさしにして、ある人は綺麗で、ある人は綺麗でないという判断をくだしているのだろうか、と私は時々考えます。これは単に感覚的なもので、おそらく理論的な説明ができる人はいないのではないでしょうか。鼻が低くて目が細くても綺麗な人がいるし、逆に鼻が高くて目がパッチリしていても綺麗に見えない人もいます。人間とはまことに不思議なものです。以前テレビを見ていると、DNAの操作によって、将来両親のいいところばかり子どもに受け継がせることができるようになる、と聞いたことがあります。そうなれば子どもは外見も両親のいいところだけを受け継ぐようになるため、みんな外見がよくなるわけで、そうなってしまえば、外見の善し悪しはほとんど意味を持たなくなります。結果美容整形など必要なくなるでしょう。しかし今現在はクローン牛を食えるの食えないのと騒いでいるぐらいですから、そんな夢の時代がいつやって来るのかわかりません。昔のSF作家のシナリオでは2012年には人類は月や火星に移住しているはずですが、実際は携帯電話だけが進化して、車はまだガソリンで走っているし、何十年も前の車両が線路の上を走っています。私たちが期待しているほど科学技術の進歩の速度は速くはないのです。理論上ではDNAの操作で人間は超人にもなりうることができるわけですが、その日まで人類が存続しているかどうかは誰にもわかりません。私は単なる絵空事に終わるような気がします。


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posted by つばさ at 23:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 随筆 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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