2013年06月30日

映画『フットルース』とサウンドトラック

 『フットルース』は1984年に公開された映画です。私が生まれてはじめて買ったレコードが『フットルース』のサウンドトラックだったので、この映画・音楽には特別の思い入れがあります。当時LPレコードは一枚3000円前後したので、貧乏な中学生であった私には大変な出費でした。しかしそれは3000円を遥かに超える価値のあるレコードでした。
 当時サウンドトラックは飛ぶように売れましたが、映画の方は駄作だ、つまらない、と酷評されていました。しかし私はおもしろいと思います。評論家に見る目がなかったのではないでしょうか。現にこの映画は後にミュージカルになったり、映画のリメイクが作られたりと再評価されています。

【あらすじ】
 大都会シカゴから田舎町ボーモントに引っ越してきたレンは、ボーモントのひどい閉鎖性に困惑を感じる。ダンス、酒、ロックミュージックは禁止され、そんな町の秩序を維持しているのが、ヒロインのエリエルの父親であった。転校後レンは様々なトラブルに巻き込まれ、そのトラブルの原因をすべて自分に押し付けられたことに反発を感じる。そしてエリエルは当初レンとは敵対する関係にあったが、都会育ちの既成概念にとらわれないレンにしだいに惹かれていく。
 町の閉鎖性が、5年前の高校生が死亡した自動車事故に起因し、そのとき死んだ高校生がエリエルの兄、つまり牧師であるエリエルの父親の息子であるとレンは知る。そしてレンは保守的な大人に反発し、町でダンスパーティーを開催することを企図する。

【私の所感】
 本作は主人公とヒロインが多感な時期を、保守的な大人たちと対立しながら成長していく、という青年期の葛藤を見事に描いていると思います。
 私が好きなシーンはいくつもありますが、冒頭でレンと友達になったウィラードがレンの愛車フォルクスワーゲン・ビートルでドライブするシーンがあり、レンが「メン・アット・ワーク(オーストラリアのロックバンド)を知っているか?」とウィラードに聞くと「労働者か?」と答えたり、「ポリス(英国のバンド)は?」と聞くと、「後ろにいるぜ」とウィラードが答え、そのままパトカーに検挙されてしまったのには笑いました。
 またレンがエリエルの彼氏を怒らせ、トラクターでチキンレースをするシーンがありますが、これはジェームス・ディーンの『理由なき反抗』のパロディですね(私はこの映画も大好きです)。結果はレンの靴ひもがアクセルにひっかかり、脱出できなかったため、レンの勝利に終わりますが、このオチも『理由なき反抗』のパクリです。
 そしていろんなトラブルの原因を押し付けられたレンがバイト先の製粉所で怒りをぶつけるようにダンスを踊りますが、かっこいい。しびれます。バックに流れるムーヴィング・ピクチャーズの『ネヴァー』がこのシーンにぴったりとはまっています。

【 Rebellion 】
 映画自体の話とは逸れますが、私は高校生のとき毎日NHKの『ラジオ英会話』を聞いていました。受験勉強は全くしませんでしたが、個人的に語学はなんとかものにしたいと思っていたのです。
 『ラジオ英会話』は毎週土曜日にゲストを呼んでいろいろ話を聞いていたのですが、あるときピーター・バラカン氏がゲストにきたことがありました。司会者が彼に「ロックンロールとは何か?」という質問をしたとき、彼は「Rebellion(反抗、反逆)だ」と答えました。「若者はその成長過程で親に反抗する、教師に反抗する、社会に反抗する、こうした若者たちの魂の叫び声がロックンロールなんだ」と語っていました。
 中高生、つまり青年期にある若者たちは理想主義的です。彼らは身の回りのことから、政治・社会問題まであらゆることに矛盾を感じ、その矛盾を大人たちにぶつけてきます。そして私たちは彼らのぶつけてくる疑問に真摯に答えなければならない義務があります。残念ながら私の青春時代にそんな大人はほとんどいませんでした。
 だからと言って私が若者の疑問を放ったらかしていいということにはなりません。私たち大人は体をはって彼らの矛盾と一緒に格闘しなければなりません。そうすることで若者は成長し、それだけでなく私たち大人も多くのことを学ぶのです。テレビドラマの『金八先生』が大ヒットしたのは、若者たちの支持を得ただけでなく、若者とうまくコミュニケーションを取れない大人たちの共感も呼んだからだと思います。
 子どものために体をはって格闘する金八先生は、ある意味で私たち大人の理想像であり、その対極に位置するのがこの映画のヒロインの父親なのです。

【サウンドトラック】
 1983年の大ヒットアルバムがマイケル・ジャクソンの『スリラー』なら、1984年の大ヒット作は『フットルース』です。私は当時『 FM STATION 』という雑誌を毎号買っていましたが、その中のビルボード・ヒットチャートのアルバムチャートでは常に『フットルース』が1位でした。アルバムでシングルカットされた主な曲は以下のとおりです。
○ フットルース〜メインテーマ(ケニー・ロギンズ)
○ レッツ・ヒア・イット・フォー・ザ・ボーイ(デニース・ウィリアムス)
パラダイス〜愛のテーマ(マイク・レノ&アン・ウィルソン)
ヒーロー(ボニー・タイラー)
アイム・フリー(ケニー・ロギンズ)
ネヴァー(ムーヴィング・ピクチャーズ)
※この中で赤字で示したのが私の好きな曲です。
 この中でも一番好きなのが『ネヴァー』です。体内のエネルギーがほとばしるようなアップテンポの名曲です。ムーヴィング・ピクチャーズはオーストラリアのバンドですが、この1曲で消えてしまったのが非常に残念です。日本人もカヴァーしたので若い人でも聞いたことがあると思います。
 『ヒーロー』は日本の名作テレビドラマ『スクール・ウォーズ』でも使われていました。日本人でも必ず一度は聞いたことのある曲です。
 『パラダイス〜愛のテーマ』は聞けば聞くほど心に沁み込むバラードです。
※上記のうち何曲かはYou Tubeでも視聴することができます。前回ご紹介したアイリーン・キャラの『フラッシュダンス・・・ホワット・ア・フィーリング』もありました。


 音楽バカの私の音楽談義も記載しようと思いましたが、長くなるので、別途後日ご紹介しようと思います。
posted by つばさ at 20:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画レヴュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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