2013年07月28日

映画『レ・ミゼラブル』――原作との比較

 今さらながら映画『レ・ミゼラブル』を観ました。ツタヤで借りたのですが、新作なので450円もとられた・・・(涙)。
 どういう作りになっているのか非常に興味があったのですが、最初から最後まで可能な限り原作に忠実に作られていたので驚きました。私はマドレーヌ氏の話あたりで終わらせているのかと思っていましたが、最後のほうの下水道のシーンまでありました。
 映画は相当金をかけているな、というのがわかりましたし、なかなかよくできているとも思いました。たかだか2時間40分の間によく全編おさめられたものです。ただミュージカルとは知らなかったので、セリフのほとんどが歌になっているのには若干戸惑いました。

 私は原作(新潮文庫版)も数年前に読んだので、原作と映画を比較してみたいと思います。映画と原作が違うところをすべて挙げていこうと思いましたが、文庫のページをめくっているとそれはあまりに時間がかかりすぎると思ったので、いくつか要点を抜き出してみました。
 原作を読んでからかなり時間がたっているので、もし間違いがあったらご容赦ください。 



【原作と映画の比較】
〈 ミリエル氏 〉
 映画の冒頭でジャン・ヴァルジャンを教会に泊め、銀の燭台を与える神父はミリエル氏といいます。彼はディーニュの司教、ビヤンヴニュ閣下とも呼ばれます。映画では名前が出てきません。原作ではミリエル氏について冒頭で少々長い記述があり、彼がナポレオンと会話するシーンも出てきます。

〈 マドレーヌ氏 〉
 ジャン・ヴァルジャンが登場するのは1815年10月で、このとき年齢は46〜48歳ぐらいと記述がありますが、はっきりした年齢はわかりません。
 彼はミリエル氏によって善の道へ導かれた後、モントルイユ・シュル・メールという町で火事の中から憲兵隊長の息子を救い出し、その功績によって身分証の提示を求められることなく、この町の市民になります。そしてマドレーヌと名を変え、モントルイユ・シュル・メール伝統の黒ガラス装身具の製法に画期的な改良を加え、巨万の富を得ます。彼は事業で得た財産を貧しい人々に分配し、町に尽くした功績が認められ、1820年国王より市長に任命されます(市長への推薦を一度は断り、レジオン・ド・ヌール勲章も辞退している)。
 映画は1823年からはじまります。

〈 ファンチーヌ 〉
 パリにいるときトロミエスという男と恋に落ち、コゼットをみごもります。しかしトロミエスは実家に帰らなければならないと、ファンチーヌをパリに置き去りにします。トロミエスについてはそのあと一切出てきませんし、特に記述するようなエピソードもありません。
 彼女は故郷のモントルイユ・シュル・メールへ帰る途中、1818年モンフェルメイユでテナルディエにコゼットを預けます。
 映画ではファンチーヌはマドレーヌ氏の命でスケベ工場長に放り出されますが、原作では女の現場監督に解雇されます。田舎町なので女性は「貞淑」を求められ、未婚の母には世間の目が厳しかったのです。原作ではマドレーヌ氏はファンチーヌの解雇に一切関与していません。

〈 ジャヴェール 〉
 原作ではジャヴェールはモントルイユ・シュル・メールで初めて登場します。映画のように大型船を徒刑囚が引っ張るシーンは原作にはありません。
 ジャヴェールは若い頃、南仏のトゥーロンの徒刑場に勤めており、マドレーヌ氏を一度見たことがあると疑います。荷馬車の下敷きになったフォーシュルヴァン爺さんを救ったとき、その怪力を見て、ジャヴェールはますます疑いを強めます。ちなみにジャン・ヴァルジャンがコゼットとパリの街を逃げていて、偶然入った修道院にいた庭番がフォーシュルヴァンで、ジャン・ヴァルジャンを助けます。

〈 ジャン・ヴァルジャン 〉
 映画ではシャンマチウの裁判のあと、ジャン・ヴァルジャンはファンチーヌがいる病院でジャヴェールと対決して川に飛び込み、そのままモンフェルメイユの悪党テナルディエの酒場に現れます。
 しかし原作ではジャン・ヴァルジャンは一度逮捕され、徒刑囚として軍艦の甲板で労役に服しているときに、海に転落しそうになった水兵を助け、自分が海に転落してしまいます。そしてジャン・ヴァルジャン は溺死したことになります。

〈 パリでの逃走劇 〉
 映画ではモンフェルメイユでコゼットを見つけたジャン・ヴァルジャンがそのままパリに向かい、検問にかかって、ジャヴェールに追いかけられますが、原作では一度パリのゴルボー屋敷というところに居をかまえます。そして乞食に扮したジャヴェールに見つかり、2人の逃亡劇がはじまります。

〈 第三巻 〉
 新潮文庫版の第三巻の部分は、映画ではほとんど無視をされています(時間の都合でしょう)。
 第三巻ではじめてマリウス(文庫ではマリユス)が登場します。マリウスの祖父はジルノルマン氏という裕福なブルジョワ。マリウスは自分の父親のジョルジュ・ポンメルシーの死後、父親がナポレオンの副官としてワーテルローで勇敢に戦ったことを知ります。共和派となったマリウスと王党派の祖父は意見が対立し、マリウスは家を出てゴルボー屋敷にすみます。ここにはジョンドレットと名を変えたテナルディエも住んでいました。第三巻の終わりに、ジョンドレットがジャン・ヴァルジャンを罠にかけて強盗を働こうとするエピソードもありますが、失敗します(このエピソードはけっこうおもしろいです)。
 マリウスは、映画では街頭でアンジョルラスとアジっているシーンから登場しますが、原作では祖父の家を出た後、友人のクールフェラックの紹介で「ABCの友の会」に参加し、革命運動にかかわるようになります。したがって革命運動へのかかわり方は、むしろ受動的ともとれます。
 またリュクサンブール公園でコゼットに一目惚れをして、ほとんどストーカーのような行為をします。コゼットが座っていた公園のベンチで「U・F」と書かれたハンカチを拾い、コゼットのハンカチだと思って喜んでにおいを嗅ぎますが、それは後でジャン・ヴァルジャンのものだとわかりました。
 コゼットとマリウスが街頭で出会い、お互いに一目惚れをするのは映画だけです(これも時間の関係でしょう)。
 ちなみにマリウスは家を出て弁護士になります。

〈 映画では出てこない重要なポイント 〉
@ ガヴローシュ:この少年は映画でも原作でも非常に魅力的なキャラクターとして登場しますが、実は彼はテナルディエの息子です。映画を観ただけの方はただの浮浪児だと思ったでしょう。パリ市街を上空から撮った画像に大きな象のモニュメントがよく出てきますが、あそこの中で暮らしています。
 ちなみに映画でもバリケード攻防戦の後、ガヴローシュの遺体は姉のエポニーヌの遺体の隣に安置されていました。

A ジョルジュ・ポンメルシーはワーテルローの戦場で死にかけていたとき、テナルディエと出会います。テナルディエは戦死者から金品を盗んでいただけなのですが、ポンメルシーはテナルディエを命の恩人と勘違いして、その名を遺書に残したため、マリウスは必死でテナルディエを探し、恩返しをしようとします。
 映画の最後でマリウスはテナルディエを殴りますが、原作ではテナルディエは、ジャン・ヴァルジャンがマリウスをバリケードから家まで下水道を通って運んでくれたこと、ジャン・ヴァルジャンは以前マドレーヌ氏であったことを、悪意をもって教えて、マリウスの目を開かせます。マリウスは大変な嫌悪感に見舞われながらも、テナルディエが貴重な情報をもってきたこと、それよりも父親の恩人だと勘違いしていたことから、多額の金を投げつけて追い出しました。
 ちなみにテナルディエですが、妻の方は第三巻終わりの犯罪のため収監され、獄中で死亡、夫は脱獄し、マリウスにもらったお金でアメリカに渡り、奴隷貿易をはじめます。

 どうでもいいことですが、テナルディエの妻にはヒゲが生えています。

【1832年とは?】
 映画でも原作でも、1832年6月にアンジョルラスらが武装蜂起して、政府軍と戦います。しかし「なぜ1832年なの?」と疑問に思います。私は受験で世界史を勉強していたので、大雑把な流れは覚えていますが、なぜか理由がわかりません。映画では「ラマルク将軍」が頻繁に出てきますが、誰かわかりませんでした(世界史小辞典をひいてみると「進化論」で有名な生物学者しかいませんでした)。1830年と1848年には大きな革命があり、これは世界史で必ずでてきます。
 これは私の憶測ですが、本作で1832年を題材に選んだのは、1830年では革命の規模が大きすぎるからだと思います。本作の武装蜂起は1日で終わっていますから、時間的にちょうどよかったのではないのか、と考えられます。
〈 学生たちは何を望んだのか? 〉
 そして革命の目的ですが、映画を見ただけではなかなかわからないと思います。
 歴史を順番に見ていくと、1815年ワーテルローの敗北でナポレオンが没落し、ウィーン体制のもと、王政復古が行われ、ブルボン家のルイ18世、シャルル10世が王位を継承します。しかしこの2人の国王は革命前の絶対王政を望んで反動的な政治を行ったため、国民の反感を買い、1830年7月武装蜂起した市民に国王は敗北します(シャルル10世は亡命)。これを「7月革命」といいます。その後、革命派内部で共和派と立憲王政派との間に対立が起り、その妥協策として自由主義者として知られたルイ・フィリップが国王となり、立憲君主制がしかれます。ルイ・フィリップは国民の反感を買うブルボン家ではなく、オルレアン家の出身でした。ルイ・フィリップの治世を「7月王政」と呼びます。
 本作の武装蜂起はこの「7月王政」に起っていますから、当然学生たちは完全共和制を目指していたのだと思います。そして本作では小規模な武装蜂起を取り上げていることから、このような内乱は当時たびたびあったのではないか、と推測できます。
 1830年の革命の後、資本家が成長し、労働者たちも社会主義運動に身を投じるなど、「7月王政」の制限選挙制への国民の不満が高まり、1848年2月革命が起り、第二共和政が成立します。

【最後に】
 この小説の源流をたどっていくと、他の19世後半(ドストエフスキー、トルストイなど)の作品と同様、ナポレオン・ポナパルトに行き着きます。彼の業績の善し悪しは別にして、彼が革命後のヨーロッパの知識人に大きな影響を与えたのは間違いありません。ナポレオンという稀代の天才が出現しなければ、本作のような素晴らしい小説(あるいは映画)に人類が出会うことはなかったでしょう。

【補足】
 新潮文庫版には目次がないので、自分で打ち込んでみました・・・すごく長くなりました。どうりで目次がないわけです。ちくま文庫版も本屋で確認すると、章までの目次しかありませんでした。もし原作をお読みなる方がいれば、参考にしていただければ幸いです。
(注)この色で色付けされた部分は、ジャン・ヴァルジャンの物語とは関係がないので、飛ばして読んでも問題ありません。
 ジャン・ヴァルジャンの物語だけに焦点を絞れば、角川文庫の抄訳のように、かなりシェイプアップできます。

〈 目次 〉
第一部 ファンチーヌ
第一章 正しい人
1 ミリエル氏(6)
2 ミリエル氏がヴヤンヴニュ閣下となる(10)
3 よい司教に厄介な司教区(18)
4 言葉にふさわしい行為(20)
5 ビヤンヴニュ閣下が法衣を着古したこと(30)
6 彼の家を誰に守らせたか(34)
7 クラヴァット(41)
8 酒のあとの哲学(46)
9 妹の語った兄(52)
10 未知の光明に面した司教(58)
11 一つの制限(76)
12 ビヤンヴニュ閣下の孤独(81)
13 彼が信じていたもの(85)
14 彼が考えていたこと(91)
第二章 転落
1 一日じゅう歩き回った夜のこと(95)
2 賢明な人に用心をすすめる(112)
3 受け身の服従の雄々しさ(117)
4 ポンタルリエチーズ製造所についていろいろ(125)
5 平静(130)
6 ジャン・ヴァルジャン(133)
7 絶望のどん底(140)
8 波と闇(150)
9 新たな被害(153)
10 目を覚ました男(154)
11 彼がしたこと(158)
12 司教は働く(163)
13 プチ・ジェルヴェ(169)
第三章 1817年に
1 1817年(182)
2 二組の四重奏(190)
3 四人と四人(196)
4 トロミエス愉快になりスペインの歌をうたう(202)
5 料理屋ボンバルダ(205)
6 自惚れの章(209)
7 トロミエスの知恵(212)
8 馬の死(220)
9 歓楽の楽しい終わり(225)
第四章 委託は譲渡となることがある
1 母と母の出会い(230)
2 うさんくさい夫婦の手初めの素描(243)
3 ひばり(246)
第五章 堕落
1 黒ガラス細工の進歩の話(251)
2 マドレーヌ(253)
3 ラフィト銀行への預金額(258)
4 喪に服したマドレーヌ氏(262)
5 地平のかすかな光(265)
6 フォーシュルヴァンさん(273)
7 フォーシュルヴァンがパリで庭番になる(278)
8 ヴィクチュルニヤン夫人が道徳のため35フラン費う(279)
9 ヴィクチュルニヤン夫人の成功(283)
10 成功の続き(287)
11 「キリストはわれらを救いたもう」(295)
12 バマタボウ氏の無為徒食(297)
13 市の警察の幾つかの問題の解決(300)
第六章 ジャヴェール
1 休息のはじめ(315)
2 どうしてジャンがシャンとなるか(321)
第七章 シャンマチウ事件
1 修道女サンプリス(335)
2 スコーフレール親方の眼力(339)
3 頭の中の嵐(346)
4 睡眠中の苦悩の形いろいろ(373)
5 故障(378)
6 試練にたった修道女サンプリス(396)
7 旅人は到着して、すぐに帰り支度をする(408)
8 特別入場(415)
9 有罪の決定がなされている場所(419)
10 否認の方式(428)
11 いよいよ呆気にとられたシャンマチウ(438)
第八章 反撃
1 マドレーヌ氏はどんな鏡で自分の髪をながめたか(446)
2 幸福なファンチーヌ(450)
3 満足したジャヴェール(456)
4 官憲が権力を再び取戻す(461)
5 ふさわしい墓(467)

第二部 コゼット
第一章 ワーテルロー
1 ニヴェルから来るとき見かけるもの(6)
2 ウーゴモン(8)
3 1815年6月18日(17)
4 A(21)
5 戦局の「不明な点」(23)
6 午後四時(27)
7 上機嫌のナポレオン(31)
8 皇帝は道案内のラコストにたずねる(39)
9 意外なこと(42)
10 モン・サン・ジャン高地(47)
11 ナポレオンには悪い道案内、ビューローにはいい道案内(54)
12 近衛兵(56)
13 破局(58)
14 最後の方陣(61)
15 カンブローヌ(63)
16 指揮官の価値はどれくらいか?(66)
17 ワーテルローをみとめるべきか?(73)
18 神権説の再発(75)

19 夜の戦場(79)
第二章 軍艦オリオン号
1 24601号が9430号となる(89)
2 悪魔のものらしい二行の詩句が読まれる場所(93)
3 足輪の鎖が一撃でこわれてしまったのには、準備工作が必要であったということ(99)
第三章 死んだ女への約束をはたす
1 モンフェルメイユの飲み水の問題(110)
2 二人の肖像の仕上げ(115)
3 人には酒がいるし、馬には水がいる(122)
4 人形の登場(127)
5 小娘ただ一人(129)
6 ブラトリュエルの利口を証明するらしいもの(136)
7 コゼットが闇のなかで知らない男と並んで歩く(143)
8 金持だか貧乏人だかわからない男を泊める不愉快さ(149)
9 テナルディエの策略(176)
10 最善を求めて最悪を得ることもある(189)
11 9430号が再びあらわれ、コゼットは当りの番号を引く(196)
第四章 ゴルボー屋敷
1 ゴルボー先生(199)
2 フクロウとウグイスの巣(207)
3 二人の不仕合せな人間が一緒になって幸福になる(210)
4 代表借家人の老婆の観察(216)
5 5フラン貨が床に落ちて音を立てる(219)
第五章 暗闇の追跡に無言の同勢
1 計略のジグザグ(225)
2 オーステルリッツ橋に車が通るのはありがたい(229)
3 1727年のパリ地図を見よ(232)
4 無我夢中の逃走(237)
5 ガス灯がついていたらできなかったろう(240)
6 謎のはじまり(245)
7 謎のつづき(248)
8 謎は深まる(251)
9 鈴をつけた男(254)
10 ジャヴェールが獲物を見つけそこなったのはどういうわけか(260)
第六章 プチ・ピクピュス
1 ピクピュス小路62番地(273)
2 マルタン・ヴェルガの修道院支部(277)
3 厳しさ(287)
4 陽気さ(289)
5 気晴らし(294)
6 小さな修道院(301)
7 暗がりの人影(305)
8 心の次に石(309)
9 胸当てに包まれた1世紀(311)
10 永久礼拝の起源(314)
11 プチ・ピクピュスの終り(316)
第七章 余談
1 修道院の抽象的観念(319)
2 修道院の歴史的事実(320)
3 どんな条件なら過去を尊重できるか(324)
4 原則から見た修道院(327)
5 祈り(329)
6 祈りの絶対的な正しさ(331)
7 非難するときの注意(335)
8 信仰、法則(336)

第八章 墓地は与えられたものを受取る
1 修道院に入る方法(340)
2 困難にぶつかったフォーシュルヴァン(351)
3 イノサント尼(355)
4 ジャン・ヴァルジャンはアウスチン・カスティリェーホーを読んだらしいこと(373)
5 酒飲みでも不死身とはかぎらない(382)
6 四枚の板の間(392)
7 証明書をなくすな、という言葉の起りについて(394)
8 口頭試問合格(407)
9 隠遁生活(412)

第三部 マリユス
第一章 パリの微粒子的研究
1 小さなもの(6)
2 その幾つかの特徴(7)
3 愉快な奴だ(9)
4 役に立つこともある(11)
5 その境界(12)
6 歴史の一端(15)
7 浮浪児はインドの身分制度にありそうだ(17)
8 前の王さまの洒落について(20)
9 古いゴール魂(22)
10 「このパリを見よ、この人を見よ」(23)
11 嘲笑し、君臨する(28)
12 人民にひそんでいる未来(31)

13 プチ・ガヴローシュ(32)
第二章 大ブルジョワ
1 90歳で32本の歯(36)
2 この主人にしてこの邸宅あり(38)
3 リュック・エスプリ(40)
4 百歳になりたがる(41)
5 バスクとニコレット(42)
6 マニョンとその二人の子供のこと(44)
7 規則――晩でなければ訪問を受けない(47)
8 二人でも一対にならない(48)
第三章 祖父と孫
1 古いサロン(52)
2 当時の赤い幽霊の一人(57)
3 「安らかに憩わんことを」(66)
4 強盗の最後(77)
5 ミサに行くと革命家になれる(82)
6 教会委員に出会った結果(84)
7 女の尻を追いかける(93)
8 御影石と大理石(101)
第四章 ABCの友
1 歴史的になりそこなった一団(109)
2 ボシュエのブロンドー追悼演説(128)
3 マリユスの驚き(134)
4 キャフェ・ミュザンの奥の間(137)
5 地平線はひろがる(148)
6 「生活の苦しさ」(154)
第五章 不幸のすぐれた点
1 一文なしのマリユス(159)
2  貧しいマリユス(162)
3 成長したマリユス(166)
4 マブーフ氏(172)
5 悲惨のよい隣人である貧乏(179)
6 代人(182)
第六章 二つの星の出会い
1 綽名、新しい姓のつくられ方(189)
2 「光ありき」(193)
3 春の影響(196)
4 大病のはじまり(197)
5 ブーゴン婆さんがいろいろびっくりすること(201)
6 囚われの身となる(203)
7 Uという字をめぐる推測(207)
8 廃兵でも幸福になれる(209)
9 雲がくれ(212)
第七章 パトロン・ミネット
1 坑道と坑夫(216)
2 どん底(219)
3 バベ、グールメール、クラクズー、モンパルナス(222)
4 仲間の組織(225)
第八章 腹黒い貧乏人
1 マリユスが帽子をかぶった娘を探しているうちに、鳥打帽の男に出会う(230)
2 拾いもの(233)
3 「四面の怪物」(236)
4 悲惨の中のバラ(243)
5 神慮ののぞき穴(253)
6 巣窟にいる野獣人(257)
7 戦術と策略(262)
8 あばら家に光明(268)
9 ジョンドレットが泣きそうになる(271)
10 国営馬車の料金、1時間2フラン(278)
11 悲惨から苦痛に助力の申し出(282)
12 ルブラン氏がくれた5フラン貨幣の使い方(287)
13 「一対一の差向いで、人目離れた場所で、主に祈ることを考えなかった」(295)
14 警官が弁護士に拳固を2つ与えること(299)
15 ジョンドレットが買物をする(305)
16 1832年に流行したイギリス調の小唄がまた聞える(309)
17 マリユスが与えた5フランの使い方(315)
18 マリユスの2脚の椅子は向い合せになっている(321)
19 暗い奥が気にかかる(323)
20 待ち伏せ(330)
21 最初に必ず被害者をつかまえておくべきだ(366)
22 第三巻で泣いていた子供(372)

第四部 プリュメ通りの牧歌とサン・ドニ通りの叙事詩
第一章 歴史の数ページ
1 上手な裁断(6)
2 下手な縫いつけ(14)
3 ルイ・フィリップ(19)
4 土台の下のひび(29)
5 歴史の成因であり歴史の知らない事実(40)

6 アンジョルラスと副官たち(57)
第二章 エポニーヌ
1 ヒバリの野(65)
2 犯罪の種は獄中で芽ばえる(73)
3 マブーフ老人を訪れた幽霊(80)
4 マリユスを訪れた幽霊(85)
第三章 プリュメ通りの家
1 秘密の家(93)
2 国民兵ジャン・ヴァルジャン(99)
3 葉と枝と(102)
4 鉄柵の変化(107)
5 バラが武器であることを自覚する(114)
6 戦いがはじまる(121)
7 悲しみに、いやます悲しみを(126)
8 徒刑囚の鎖(134)
第四章 下からの救いは上からの救いになりうる
1 外の傷、内の回復(148)
2 プリュタルク婆さんは不思議な出来事の説明に困らない(151)
第五章 結末が初めと違っていること
1 孤独と兵営の結びつき(164)
2 コゼットの恐怖(166)
3 トゥーサンの説明で恐怖が増す(171)
4 石の下の心(175)
5 手紙のあとのコゼット(182)
6 老人はうまいときに外出するものだ(186)
第六章 プチ・ガヴローシュ
1 風の意地悪な悪戯(192)
2 プチ・ガヴローシュが大ナポレオンを利用する(197)
3 脱走の大詰め(231)
第七章 隠語
1 起源(251)
2 語根(261)
3 泣く隠語と笑う隠語(274)
4 二つの義務――監視と希望(280)

第八章 喜びと悲しみ
1 あふれる光(287)
2 完全な幸福の眩惑(295)
3 影のはじまり(298)
4 馬車は、英語で走り、隠語で吠える(303)
5 夜のいろいろな物(316)
6 マリユスは現実にかえってコゼットに住所を知らせる(317)
7 年老いた心と若い心の対面(327)
第九章 彼らはどこへ行く?
1 ジャン・ヴァルジャン(346)
2 マリユス(348)
3 マブーフ氏(352)
第十章 1832年6月5日
1 問題の表面(358)
2 問題の本質(363)
3 葬式――復活の機会(372)
4 昔の興奮(379)
5 パリの独創性(386)

第十一章 原子が大風に協力する
1 カヴローシュの詩の起源に関する幾つかの説明。その詩にたいするアカデミー会員の影響(391)
2 行進するガヴローシュ(394)
3 床屋のもっともな怒り(400)
4 少年は老人に驚く(402)
5 老人(405)
6 新加入者(409)
第十二章 コラント
1 創立以来のコラントの歴史(413)
2 前祝い(421)
3 グランテールに夜が訪れかける(435)
4 ユシュルー後家を慰める試み(441)
5 準備(446)
6 待っている間(449)
7 ピエット通りで加わった男(455)
8 ル・カビュックと名のる男についての数々の疑問。ル・カビュックは偽名らしい(461)
第十三章 マリユス闇に入る
1 プリュメ通りからサン・ドニ通りへ(468)
2 フクロウの見おろしたパリ(472)
3 瀬戸ぎわ(475)
第十四章 絶望の偉大さ
1 旗――第一幕(484)
2 旗――第二幕(488)
3 ガヴローシュは、アンジョルラスの騎銃をもらっておけばよかった(492)
4 火薬樽(494)
5 ジャン・プルーヴェールの詩の終り(497)
6 生の苦しみのあとの死の苦しみ(500)
7 ガヴローシュは巧みに距離をはかる(508)
第十五章 ロマルメ通り
1 おしゃべりの吸取紙(514)
2 灯火の敵の浮浪児(526)
3 コゼットとトゥーサンの眠っている間に(533)
4 度を過したガヴローシュの熱狂(535)

第五部 ジャン・ヴァルジャン
第一章 壁に囲まれた戦争
1 フォブール・サン・タントワーヌのカリュブディスとフォブール・デュ・タンプルのスキュラ(6)
2 深淵では話以外に何ができようか?(16)
3 光明と暗雲(22)
4 5人減って、1人ふえる(24)
5 バリケードの上からどんな地平線が見えるか(35)
6 やつれたマリユス、無駄口きかぬジャヴェール(40)
7 情勢は悪化する(43)
8 砲兵隊はむきになる(49)
9 昔の密猟者の腕前と、1796年の有罪宣告に影響した百発百中の射撃を役立てること(53)
10 夜明け(56)
11 必中の射撃で、しかも人を殺さない(61)
12 秩序に味方する無秩序(62)
13 消え行く微光(67)
14 アンジョルラスの恋人の名は(69)
15 飛び出したガヴローシュ(73)
16 どのようにして兄が父となるか(78)
17 「死んだ父が死期せまる息子を待つ」(90)
18 禿鷹が餌食となる(92)
19 ジャン・ヴァルジャンは復讐をする(98)
20 死者は正しく、生者も誤っていない(103)
21 英雄たち(115)
22 一歩一歩(121)
第二章 巨獣のはらわた
1 海のために痩せた土地(134)
2 下水道の古い歴史(139)
3 ブリュヌゾー(143)
4 知られない細部(147)
5 現在の進歩(152)
6 これからの進歩(154)

第三章 泥で、しかも魂
1 下水とその不意打ち(161)
2 解釈(169)
3 尾行される男(173)
4 彼も十字架を負う(178)
5 砂にも女のような不実な悪だくみがある(182)
6 陥没孔(188)
7 上陸するつもりでいるところで座礁することもある(191)
8 破り取られた上着の裾(194)
9 目利きにもマリユスは死人と見える(202)
10 命を粗末にする息子の帰宅(208)
11 絶対者の動揺(211)
12 祖父(214)
第四章 脱線したジャヴェール(222)
第五章 孫と祖父
1 トタン板をつけた木が再び登場(240)
2 マリユスは内戦から出て家庭戦争にそなえる(245)
3 マリユス、攻撃に出る(252)
4 ジルノルマン嬢もフォーシュルヴァン氏が何かを小脇にかかえて入って来たのを悪く思わなくなる(257)
5 金は公証人よりも森に預けよ(265)
6 二人の老人がそれぞれの仕方でコゼットが幸福になるようになんでもする(267)
7 幸福にまじる夢のはたらき(278)
8 行くえのわからない2人の男(282)
第六章 眠れない夜
1 1833年2月16日(288)
2 ジャン・ヴァルジャンは相変らず腕を吊っている(302)
3 「お供」(316)
4 「不滅の心」(319)
第七章 苦杯の最後の一口
1 地獄の第七界と天国の第八天(326)
2 告白の中に含まれる暗い影(354)
第八章 黄昏の薄れる光
1 下の部屋(366)
2 さらに数歩後退(374)
3 二人はプリュメ通りの庭を思い出す(378)
4 引力と消滅(385)
第九章 最後の闇、最後の曙
1 不幸な人びとへの憐れみ、だが幸福な人びとへは寛容(388)
2 油の尽きたランプの最後の揺らめき(391)
3 フォーシュルヴァンの荷車を持ち上げた者が、今はペンも重い(394)
4 白くすることしかできないインク壺(398)
5 そのうしろに夜明けがある夜(427)
6 草は隠し、雨は消す(443)

posted by つばさ at 22:28| Comment(1) | TrackBack(1) | 映画レヴュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする