2012年11月09日

『鴨川ホルモー』『十角館の殺人』『半落ち』『2001年宇宙の旅』

今回読んだのは『鴨川ホルモー』『十角館の殺人』『半落ち』『2001年宇宙の旅』です。

『鴨川ホルモー』 万城目学 角川文庫 (2006年)
 いまや大変な売れっ子になった万城目学のデビュー作です。京都の四つの大学の同好会が妖怪のようなものをあやつってリーグ戦を戦うというやや現実離れした設定になっています。最初は嫌々読んでいましたが、非常に読みやすく、あっというまに読破しました。妖怪をあやつって戦うという設定(スポーツではダメだったのか?)と一人称主人公の軽くおちゃらけた文体に違和感がありましたが、青春小説として非常に切なく胸がキュンときました。

『十角館の殺人』 綾辻行人 講談社文庫 (1987年)
 ニュー本格ミステリーの中でも群を抜いて評価の高い作品であり、また綾辻行人のデビュー作であったので図書館で借りて読みました・・・がガッカリでした。話の前半ですでに犯人の目星がついてしまい、かつ動機は最初から与えられており、さらにトリックも私が単純すぎて選択肢から除外したものがそのまま使われていました。だから種明かしをされてもどんでん返しどころではありませんでした・・・
 この本の場合、作品本編よりも鮎川哲也氏の文庫版あとがきの方が私には大変勉強になりました。鮎川氏は綾辻氏をはじめとする新本格派に対して無責任な批判が多いことを憂いて「角のある物言いは害あって益ないことを、知らぬわけでもなかろう」「先哲にも、まるい玉子も切りようで四角、ものも言いようでかどが立つ、という言があるではないか」と新人を温かく見守る必要性を説いています。
 このあとがきを読んで、私もいろんな小説に無責任な批判を下したことを恥ずかしく思いました。小さなブログですが、読んでくださる方もいらっしゃるので、知性を忘れぬ発言をするよう反省しております。

『半落ち』 横山秀夫 講談社文庫 (2002年)
 「このミステリーがすごい」の第一位に選ばれた作品であり、評価も非常に高いので図書館で借りて読んでみました。しかし残念ながら私の好みにあう作品ではありませんでした。泣ける話が好きな方にはお勧めかもしれません。妻を殺害して自首してきた現職警察官が、犯行を素直に自供するが、殺害してから自首するまでの2日間の行動については何も語らない。話はこの2日間の謎で最後まで引っ張っていくのですが・・・ここまで引っ張るほどのオチではなかったのでは?と思います・・・しかし作品中で使われている警察・司法・新聞記者などの専門用語をよく知っているな、と感心しました。作者は新聞記者としてのキャリアが長いのでこれだけの専門用語が身についたのでしょう。うらやましい。

 以上3作品を読んでみましたが、結果もう最近の日本人作家の小説は読まないことに決めました。昔に比べておもしろい作品があまりに少ないし、私も悪口を書きたくないのです。あるいはおもしろいと思えなかったのは私が年を取ったからかもしれません。私が最近の日本人作家の小説を読んでいたのは、一つは最近の読者の傾向を知りたかったためで、もう一つはせっかく読んだのだからこのブログで紹介したかったためです。今後は創作活動のヒントを得るためと、このブログで紹介するため新書などで評論を読んでいこうと考えています。

『2001年宇宙の旅』 アーサー・C・クラーク 早川文庫 (1968年)
 私は映画版の『2001年宇宙の旅』が大好きなので、原作も今更ながら読んでみました。この小説はスタンリー・キューブリックが映画製作用に直々にクラークに執筆を依頼した珍しいものです。映画化を念頭においていたためか、小説では宇宙空間、宇宙船、宇宙船から見た星々などの情景描写が非常に長いです。私はこの情景描写が全くイメージできず、その上ストーリーがなかなか前に進まないため、何度も挫折しそうになりました。
 しかし映画を見た後、この小説を読むと映画のなかであまりに多い幻想的なシーンによってぼやかされた謎がある程度わかります。
 『2001年宇宙の旅』については映画の評価があまりに高いので、「クラークはキューブリックにレイプされたのだ」とある評論家が言ったそうで、それに対してクラークは「それはちがう。レイプはおたがいさまだったよ」と答えたという逸話があとがき書かれていて、笑いました。
 小説とは関係ありませんが、『博士の異常な愛情』で絶妙な人間描写と言い回しを披露した後、『2001年宇宙の旅』で人間のほとんど出てこない無機的な映画を作り上げたキューブリックの才能には目を見張るものがあります。彼も20世紀の天才の一人に数えられても不思議ではありません。






posted by つばさ at 18:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 書評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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