おそらく映画の人気に便乗して出版されたのでしょう。
元々完全版の『レ・ミゼラブル』には余計な記述が多くあります。「パリの浮浪児」「フランスの修道院制度」「パリの下水道」などジャン・バルジャンの物語とは関係のない挿話が非常に多い。したがって仕事でなかなか読書の時間が取れない人が完全版を読み切るのは容易ではないので、角川の抄訳は大変重宝するでしょう。もっとも完全版を読むのにこしたことはありませんが。角川版も読む時間がない方は、黒岩涙香が子ども向けに翻訳した『ああ無情』もあります。
それから、ちくま文庫からは新訳の完全版が出ているので、これから読もうとする方は、こちらを読んでみてはいかがでしょうか。新潮文庫版の訳も悪くはなかったですが、やはり新訳の方が読みやすいと思います。ただしまだ3巻までしか出てませんが・・・
映画が大変話題になっていますが、私は見ようかどうしようか迷っています。原作のイメージを壊されたくない・・・しかし映画の評判がいいので見てみたい、と複雑な心境です。
こちらが映画と原作の比較です
それから昨日書店でもう一つ驚いたのは、『カラマーゾフの兄弟』が日本でテレビドラマ化されていることです。私はあまりテレビを見ないので、知りませんでしたが、1月12日から放送しているんですね。しかしこれは絶対見ないですね。私が生涯読んだ中で最高の小説を、二束三文のドラマで汚されているのは見たくありません。ただ、ストーリーの構成をどうしているのかは気になります。本の帯には4人のイケメンが堂々と写った写真が載っていましたが、『カラマーゾフ』はイケメンが活躍するような恋愛ドラマではありません。
名作の映画化というと、私個人としては、中学生のときに見たソ連製の『戦争と平和』が非常におもしろかったです。したがって原作も読んでみたのですが、ストーリーの設定が私の期待をことごとく裏切るので好きになれませんでした。ただし、戦闘シーンは迫力があるし、ナポレオン本人も出てくるので、あながちつまらないとも言い切れません。
ちなみにオードリー・ヘップバーン主演のアメリカ版『戦争と平和』もありますが、こちらは大変な駄作です。もし機会があれば見比べてみるとおもしろいと思います。
過去の記事に私が『レ・ミゼラブル』『カラマーゾフの兄弟』の書評を書いておりますので、よろしければこちらもご覧になってください。


