しかしその中でもヒットする曲というのがあります。多くの人の支持を得て売れる曲というのは、ある意味人間の音楽的志向の最大公約数といえるのではないでしょうか。
したがって今回は多くの聴衆の心をとりこにした洋楽の名曲を18曲紹介したいと思います。音楽バカである私には私独特の選曲があるわけですが、今回はなるべく「我」を捨てて、客観的に見ても妥当性のある選曲にしたつもりです(しかし完全に「我」を捨てているとは言い切れないかもしれません)。
曲名をクリックすると、You Tubeなどにアップされたその曲のビデオクリップにリンクするようになっています(しかしほとんど画面が動かず、曲だけしか流れません)。同世代の方にはあの頃を思い出して懐かしんでいただき、若い方には「こんな曲もあったのか」と新たな発見をしていただければ幸いです。
【黄金の80年代】
80年代にはMTVの登場によって音楽産業の在り方が大きく変わり、ビデオクリップを作ってテレビで流すという宣伝方法が定着しました。その中で、カルチャー・クラブ、デュラン・デュラン、マイケル・ジャクソンなどのスーパースターがきら星のごとくあらわれました。そして音楽媒体の中心はラジオからテレビへ移行していきます。音楽ビデオクリップが一つの社会現象になった感がありました。
@ 『ケアレス・ウィスパー』ワム! (1984)
1984年は私が中学1年生のときで、本格的に音楽にのめりこんだ年として感慨深いものがあります。
ワム!は当時飛ぶ鳥を落とす勢いのあった英国の男性デュオです。彼らの『ケアレス・ウィスパー』は聴いた瞬間「名曲だ」と思いましたし、やはりスタンダード・ナンバーになりました。日本では確か郷ひろみがカヴァーしたはずです。
“Careless whisper” Wham!
A 『タイム・アフター・タイム』シンディー・ローパー (1984)
収録アルバム『シーズ・ソー・アンユージュアル』
大変美しいバラードです。前述と矛盾するようですが、この曲がイヤだという人はなかなかいないのではないかと思います。
私は大枚をはたいて、この曲が入った『シーズ・ソー・アンユージュアル』というアルバムを買いましたが、動くシンディーをなかなか見る機会がなかったので、ジャケットの写真だけを見て彼女に恋をしたという恥ずかしい思い出があります。化粧は化けますね(苦笑)。
“Time After Time” Cyndi Lauper
B 『スムース・オペレーター』シャーデー (1984)
収録アルバム『ダイヤモンド・ライフ』
この曲は他の曲に比べると一般的な認知度が低いかもしれません。また「シャーデーなら別のいい曲があるじゃないか」とおっしゃる方がいるかもしれません。しかしここは私の我を通させていただいて、この曲を推薦したいと思います。シャーデーはこの曲をきっかけに日米など世界で認知されるようになりました(シャーデーは英国のバンド)。
歌詞は巧みな話術で女性を口説いて歩くたらしの話です。
ビデオクリップではシャーデー・アデュが見事なヒップラインを披露して見とれてしまいました。
“Smooth Operator” Sade
C 『見つめていたい』ボリス (1983)
収録アルバム『シンクロニシティー』
英国のロックバンドのポリスの代表作です。スティングが離婚した前の奥さんへのメッセージを詞にしたと言われています。静かでシンプルなリフレインと詞がとても印象的です。
『シンクロニシティー』を最後にポリスが解散したのはファンとして非常に残念でした。スティングのソロアルバムも素晴しいですが、私としてはポリスとしてもっと長い間活躍してほしかったです。
“Every breath you take” The Police
D 『テイク・オン・ミー』a-ha (1985)
収録アルバム『ハンティング・ハイ・アンド・ロー』
この曲はなんといっても、実写とアニメが巧みに交差するビデオクリップがかなり話題になりました。今見るとそうでもないですが、当時はいったいどうやって作ったのかよくわかりませんでした。もちろんノルウェーの無名の新人バンドにこれだけのビデオクリップを提供するということは、楽曲自体が非常に優れていたからです。
“Take on me” a-ha
E 『ユアー・ラブ』アウトフィールド (1985)
収録アルバム『プレイディープ』
今回紹介する中で一番知名度の低い曲だと思います。私がMTVやベスト・ヒットUSAを見たときすごくいい曲だと感動しました。かなりヒットしましたが、アウトフィールドはその後歴史の闇に消え、後世に残ることはあまりありませんでした。
「これぞ、青春!」って感じの曲です。
“Your Love” The Outfield
F 『セーラ』スターシップ (1985)
収録アルバム『フープラ』
ちょっと悲しい失恋のバラードです。この曲もあまりメジャーではありませんが、聞き手の心を揺さぶる美しいメロディーラインがお勧めです。スターシップは現在バンド名がジェファーソン・エアプレインと変わっています。名前を何度もコロコロ変えているので紛らわしいです。
“Sara” Starship
G 『セパレート・ウェイズ』ジャーニー (1983)
収録アルバム『フロンティアーズ』
この間、2013年野球WBCのテーマ曲として使われていたので、聴いたことのある方が多いでしょう。WBCで負けた結果、悲劇の曲となりましたが。曲自体はアップテンポで、なるほど、人間の士気を鼓舞するように仕上がっています。
“Separate Ways” Journey
H 『19』ポール・ハードキャッスル (1985)
このビデオクリップをはじめて見たとき、けっこう衝撃を受けました。ヴェトナム戦争の戦闘シーンが随所に取り込まれ、血を流す負傷兵の映像が痛々しかったです。
当時はレーガン政権時代。ヴェトナムでの敗北で自信を失ったアメリカ社会をたてなおし、「強いアメリカ」の復活をレーガンは唱えていました。この曲とビデオクリップはそうした脳天気な政権・社会に対する風刺と皮肉だったのでしょう。
ちなみに「19」とはヴェトナム戦争に従軍した米兵の平均年齢のことです。
“19” Paul Hardcastle
I 『ルカ』スザンヌ・ヴェガ (1987)
収録アルバム『孤独(ひとり)』
明るい曲調に覚えやすいメロディーですが、歌詞は児童虐待を扱った重い曲です。「ルカ」という名前は男の子にも女の子にも使えますから、スザンヌ・ヴェガは名前に普遍性・匿名性を与えて、こんなことは誰にでも起るんだよ、ということを伝えたかったのではないかと思います。ちなみに聖書に出てくるルカは男性です。
「夜中に私の家から変な物音が聞こえても、それが何かって聞かないでね」
こんな内容の歌詞だと、背筋をのばして正座でもしていないと聞いていられません。しかし当時私と周りの友達は、意味がわからないのでこの曲をノリノリで聞いていました。
“Luka” Suzanne Vega
J 『素直になれなくて』シカゴ (1982)
収録アルバム『ラブ・ミー・トゥモロー』
バラードの名曲・定番です。女性から圧倒的な支持をえています。
“Hard to say I'm sorry” Chicago
K 『ヴォーグ』マドンナ (1990)
収録アルバム『アイム・ブレスレス』
80年代の曲ではないですが、1つだけ90年代の曲をご紹介したいと思います。
マドンナといえば80年代の『ライク・ア・ヴァージン』や『マテリアル・ガール』などの大ヒット曲のイメージが強いですが、私は80年代の彼女はアイドルぶりっこしていて大嫌いでした。しかし『ヴォーグ』は曲も素晴らしいし、さらにビデオクリップの中で披露されるダンスが秀逸です。90年代のマドンナはアイドルからアーティストに脱皮し、『エロティカ』『ベッド・タイム・ストーリーズ』などは素晴らしいアルバムに仕上げています。
“Vogue” Madonna
【80年代以前】
L 『ハートに火をつけて』ドアーズ (1967)
音楽好きな人に、あえてベスト1の曲を選んでくれ、と言ったらたいていの人は迷って決めきれないでしょう。しかし私は迷うことなくベスト1にこの曲を推します。
はじめて聞いたのが中学1年のときで、FMラジオから流れるこの曲を聴いて鳥肌が立ちました。最初の歌の部分が終わると、長いオルガンとエレキギターの間奏に入るのですが、この間奏がすごいのです。聞いているとまるで宇宙にいるような錯覚を起こします。「私の魂が震えた曲」それが『ハートに火をつけて』でした。
また1967年ビートルズがまだ現役の時代にこのような構成の曲を作ったこともすごいと思います。
ドアーズのリーダー、ジム・モリソンは創造的な人間だったのでしょう。しかしモーツァルトと同じように人間としては最低でいろんな伝説をもっています。ライブでマスターベーションをした、酔っ払ってレコーディングをした等など(私のもっているライブアルバムの中では、ジム・モリソンが間奏中にゲップを連発して観客がゲラゲラ笑う部分があります)。1971年パリで急死しますが、死因は薬物中毒ではないかといわれています。
“Light My Fire” The Doors
私の一番好きな曲が『ハートに火をつけて』であれば、一番好きなバンドはレッド・ツェッペリンです。ツェッペリンについては好きな曲(もちろん大ヒットしている)が多すぎて選ぶのに苦労しましたが、一番メジャーなこの曲にしました。長い曲で、静かなはじまりから後半グッと盛り上がっていきます。
ツェッペリンは1980年解散した後、1984年にロバート・プラントとジミー・ペイジが組んで「ハニードリッパーズ」というバンドを結成しますが、話題だけが先行して、たいした成果はありませんでした。
“Stairway to Heaven” Led Zeppelin
N 『ホテル・カリフォルニア』イーグルス (1976)
収録アルバム『ホテル・カリフォルニア』
ロック史上に燦然と輝く名曲中の名曲です。もはや言葉は必要ないでしょう。
“Hotel California” The Eagles
「フランキー・ヴァリって誰?」と多くの方が思うでしょうが、フランキー・ヴァリはともかく『君の瞳に恋してる』は誰でも一度は耳にしたことのある曲です。相当多くのアーティストがカヴァーをしました(日本では椎名林檎がカヴァー)。しかしカヴァーをいろいろ聞きましたが、やはりフランキー・ヴァリの原曲が一番いいですね。
“Can’t Take My Eyes Off You” Frankie Valli
P 『ジャスト・ザ・トゥー・オブ・アス』グローバー・ワシントン Jr. (1982)
収録アルバム『ワインライト』
「この曲何なの?」と思われる方が多いと思いますが、これも一度は聞いたことのある曲ではないかと思います(『君の瞳に恋してる』ほど有名ではありませんが)。グローバー・ワシントン Jr.は本来ジャズ・ミュージシャンですが、この曲はジャズとポップスの境界線上にあり、かなり売れました。何かわからない楽器がきれいな音色を出して、メロディーも覚えやすくきれいです。
“Just the Two of Us” Grover Washington Jr.
【例外】
最近の曲で1ついい曲に巡り合ったので記載しておきます。
Q 『Always loved a film』Underworld (2010)
収録アルバム『Barking』
【最後に】
私が本格的に音楽にのめりこんでいったのは中学1年のときで、このころは毎号『FM Station』という雑誌を買って、FMラジオが流す曲目をチェックし、時間になるとラジカセの前に座って曲のはじまる直前に録音ボタンを押していました(FMラジオをカセットに録音することを「エアチェック」といいます)。こんな作業も昔は煩雑だと思わず、むしろ楽しんでやっていました。
こんなことを楽しんでやっていた30年前の私が、突然i-pod、iphoneに出会ったらどうなったでしょうか。ひっくり返ったと思います。



自分も80年90年代洋楽世代です。
「ハートに火をつけて」で思い出したのが、ビリー・ジョエルの「ハートにファイヤー」。ハートやロクセット、スターシップといったロックバンドが好きですが、もっとも性に合うのはAORのボビーコールドウェルというアーティストです。
犬に好かれるといいですね。
80年代の音楽など今の人に伝えてもなかなか理解されないと思ったので、コメントをいただけてすごくうれしいです。
ビリー・ジョエルははやりましたね。あの人は何枚シングルがベスト1になったんでしょうか?ボビー・コールドウェルは名前だけうっすら覚えていたので検索して「Heart of mine」を聞くとああこの曲か、と思い出しました。当時の人なら誰でも知っているスタンダードナンバーですね。
私は嫌なことがあったら古い洋楽を聴いて気分転換をしています。アラフォーのカリスマ新聞員と作家志望者、お互いがんばりましょうd(⌒o⌒)b